【30】

3日目の夜


カーテンを閉めて暗い部屋
雨が上がって外は静か

ソニックとテイルスはもう眠っていたが
ナックルズだけはまだ起きている

ベッドに横になって、ぼんやり天上を眺めながら
昼間言われたことを考えていた


「おまえはもう1箇所に留まるべきガーディアンではなく――」


ただの いちハリモグラ…


グレイラインはあの後、ナックルズに延々説教したあげく、
雨が降り出したらソッコーで逃げて行ってしまって、
その言葉の真意は分からず終いだった

何かすっきりしないまま
ウトウトと寝入り始めたちょうどその時
ベランダのガラスを叩く音が

カーテンに映る大きな耳と翼のシルエット


ルージュだ


ナックルズはベッドから身を起こして 窓を開けに行く


…なんの用だよ。

見て、凄いわよ!

ルージュが指差す先には満天の星々

降り続いた雨で大気が洗い流されて
昨日一昨日よりもずっと強く輝いている

ナックルズにとってはそれほど珍しい光景ではなかったが、
都会で暮らすルージュはこんなに多くの星を見る機会は滅多になく、
まるで何万個もの宝石を見つけた様に、とてもハイになっていた

ねえ、飛ばない?
エ なっ 待て、グローブ早く ほら!

ルージュはナックルズの手を引いてグングン上昇していった
手を伸ばせば星に届きそうなほど高く
まばらに灯る島の明かりも、空から見ると星の様
ルージュがある一方向に耳を向けて、
急に表情を曇らせた


あのハープの音が聞こえる…
グレイラインまで来てるの…!

あ?
オレにはオマエが羽ばたく音しか聞こえないぞ


……
耳の大きさの差は仕方ないわね…
でも アンタも一度聞いておくといいわ


地上へ降りて羽ばたきを止めると
やっとナックルズの耳にも聞こえてきた

明るい調子の中にも どこか憂いを感じさせる曲だ



確かにグレイラインは来てるが、
この音と何か関係あるのか?


…来てるの知ってたの? 会ったの!? (迫)

いや、会ったけど別に何も… 
(引)


ルージュにはこう聞こえる(どんな)
まあいいわ。
これはグレイラインが持ってたハープの音よ

アタシが島に行ったときには違う曲を弾いてたけど
弦が二列あって独特な音だったから、間違いないわ

…あいつ楽器なんかやるのか…

島を置いて出てくるなんてどういうつもりかしら…?


マズイ。
グレイラインの話になったらルージュの機嫌が悪くなってきた
どうにかして話題を変えないと…

ァ…ええっと… この間チビに泣かれただろ
あの後どうしたんだ? 逃げて悪かったかなーって思ってて…

そうなのよー! 大変だったんだから!
夜空の遊覧飛行でやっと許してもらって…

♪っ

悪いと思ってるんなら、
その時の続きしてくれる?


つづっ///

しまった!と思っても もう遅い
もともと自分の口から出してしまった話題だ
…ああ。
素手じゃないのが悔やまれる
どうしてこんな事になったんだか

オレがここに来たのもそうだ

全部あいつに狂わされたんだ

あいつに…
mode-v 2003 SUMMER MODE V ←BACK 【30】 NEXT→ STORY:無理すぎ…;